国益とは?

 安倍首相がTPP交渉参加表明を行い、その後政府が発表した政府統一試算によると、TPP参加後10年後に実質国内総生産(GDP)を年3.2兆円(0.6%)底上げすると発表されています。

 

 一方、北海道庁が国の算出方式と同じ方式で試算した、農林水産物の生産減少額は5241億円となることを明らかにしています。

 

 さらに、道内では11万2千人が職を失い、農家も2万3千戸減少すると試算しています。

 

 国益が3.2兆円あるとはじかれていますが、国内農業生産の4割に及ぶ3兆円が減少することを前提とし、北海道において減少する雇用や農家はどこで確保され、そのプラスはどの地域で実現するのか?

 少なくともその地は、北海道ではなく大都市圏でのことなのでしょう・・・

 では、収入も失い、新たな雇用も生まれないこの地はどうなってしまうのでしょうか?

 国内全体の雇用の流動化がもたらす地域への影響は全く発表されていませんし、国全体が豊かになる(?)という発表やそれを垂れ流す報道によって、あたかもこの深川のような地域でも差し引きプラスになるのでは?などと思わされるような雰囲気が充満している気がしてなりません。

 

 改めて、TPP参加というものが国のかたち、地域の存在を大きく失うものと捉え、交渉参加阻止を大きな声にしていかなければと考えます。

 

 

以下引用・・・

 

毎日新聞 2013年03月15日 20時19分(最終更新 03月15日 22時07分)

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)担当相に就任した甘利明経済再生担当相は、15日夜の記者会見で、日本がTPPに参加した場合、10年後に実質国内総生産(GDP)を年3.2兆円(0.66%)底上げするとの政府統一試算を正式発表した。海外から安い輸入品が増えるため、農林水産物の生産額が現在の約4割に相当する3.0兆円減るが、輸出増加や消費拡大が補うとした。

 経済効果の内訳でプラスに働くのは、消費による影響が3.0兆円(0.61%)、投資が0.5兆円(0.09%)、輸出が2.6兆円(0.55%)。一方、関税を撤廃すれば輸入が増えてGDPを2.9兆円(0.60%)下げると見込まれ、差し引き3.2兆円のプラスとなる。

 試算はすべての関税を即時撤廃し、政府が追加対策を何もしない前提。実質GDPは毎年継続して増え、10年後に試算の数字に達する。甘利氏は「投資の自由化など、試算に表れない大きな潜在力がある」と強調した。