自治体3.0

 余り新しい話ではないのですが、自治体運営で奈良県生駒市の市長が著書で提言されている言葉で『自治体3.0』というものを目にしました。

以下引用・・・

 お役所仕事を抜け出せず、補助金頼みだったり、少子高齢化を受けてあきらめモードになったりしてる自治体を『1.0』とすれば、そのアンチテーゼとして改革派の元気な市長がトップダウンで改革する自治体が『2.0』です。「市民はお客様」であり、民間企業並みの「スピード感」「接遇向上」「市民ニーズにすべて応えます!」という感じです。これは確かに必要なことなんです。

 

 ただ、『2.0』だとどうしてもトップダウンになってしまいやすく、職員は言われたことをこなすことで精いっぱい。それでは、自分で考える・動くことが全然できずに、市民とともに汗をかこうという発想や行動に至らないわけです。

 

 そうではなく、トップダウンと同じくらいボトムアップの動きが出て来て、市長にアドバイスしたり、より良い提案をしたり、市長の知らない面白い市民を探し出して連携するような動きが出て来る。それをミドルが温かく見守り、応援する。そうやって、トップダウンとボトムアップ、ミドルによるつなぎのバランスが良くなり、市民ニーズに応えるだけでなく、市民と笑顔で連携できるようになったら、理想の『自治体3.0』の状態だと思います。

 

 市民と職員が何かを一緒にやろうと盛り上がって勝手に動く。私はそれを後から知って、「なんか寂しいな」くらいの感じのほうが絶対良いんです(笑)。

 

 市長はいくら頑張っても一人しかいないので、2つの耳と2つの目しか持っていない。でも、生駒市の職員800人のうち、まず100人ぐらいが動き出したら、見ることや聞くことのできる現場の声や状況は一気に広がります。つながることのできる市民も増え、明らかに『2.0』とは違うまちになると思う。

 

 今は、そういう組織になるための、生みの苦しみを感じています。もう少しで一皮むけそうなんですよ、生駒市は。日本で初めての『自治体3.0宣言』をしたいですね。

引用終り・・・

 

 また、同じ対談の中で、図書館運営については

 

以下引用・・・

 

 図書館の職員にも「ずっと司書ができるとは限らない」と話しているんです。実は、生駒市の図書館は全国でも高い評価を受けています。市民とワークショップをして、そこで提案を出してもらい、その提案をした市民の方に主導で実現してもらったりしています。

 

 実際に、閉館後の夜の図書館で地ビールの話を聞き、本で知識を深めながら地ビールを飲むという会もやりましたし、ビブリオバトル(※自分が面白いと思う本の魅力を紹介し合い、勝敗を決める)の全国大会も開催しました。うちの図書館の最大の特色は、「指定管理しない」ことかもしれません。

 というのも、僕は図書館もまちづくりの拠点だと思っています。例えば、認知症の人にフレンドリーな図書館とか、障がい者や子育ての視点からみた図書館とか、図書館そのものにさまざまな価値を付加することができると思います。暇つぶしに来ているおっちゃんたちをまちづくりにどう繋ぎこんでいくか、地域の専業主婦や高齢者、障がい者の就労や起業の支援だって考えなきゃいけない。そのためには、私は市の職員による直営の図書館がよりうまくいくはずだと考えています。

 

 その前提に立ち、先ほどの異動の話に戻せば、専門性のある図書館司書でも、「例えば、認知症の担当部署を経験し、それをもとに認知症の人にフレンドリーな図書館を作ってもらうこともあるかもしれない」と話をして採用をしています。

 

 生駒市のように、いまだに新しい図書館司書を正職員で採用する自治体は珍しいため、2人程度の募集に全国から300人を超える受験があります。それで採用した職員は、司書でありながら、他の部署の仕事も十分対応できるし、その経験を図書館とコラボさせることも可能な人材です。専門性を大切にしながらも、他との連携をしっかり指揮してもらうことが必要ですね。市役所は霞が関のように縦割りでないのだから、連携の妙を楽しんでいきたいです。

 引用終り・・・

 

 残念なことに、深川市の図書館は生きがい文化センターと共に指定管理者制度がすでに導入されており、このような取り組みは出来なくなっていて悔やまれます。

 小紫氏は環境省職員から、生駒市副市長、市長となられた経歴ですが、人材への執着、いかに人材を生かすか?という事で、大いに参考にしたいと考えますし、深川市の職員からもこのような取組みが生まれる事も期待したいと思います。